めぐる季節の中で

ことのほか暑かった夏が終わって、庭の金木犀が香っています。

〈あけぼの〉の毎日も季節と共に過ぎていきます。晴れの日が続くと思えば、利用者さんがまるで嵐が来たように病気やけがをおい入院なさったり、また退院なさったり‥。

私たちはお一人お一人の体調や心の浮き沈みに一喜一憂しながら、それらをただ、ただ受け止めます。嵐のときはじっと体を縮めて風の止むのを待つのです。

Iさん、Yさんが入院なさったときは、お二人とも認知症で介護度が高い利用者さんですので、「病気を治療する」病院で、十分な介護が受けられるかしら、とくにお気持ちの状態が保てるかしら、と心配しました。

待つことしかできなかった期間のあと、お二人は帰ってこられました。

Iさんは二週間もすると、笑ったり怒ったりして自己表現するIさんに戻られました。転倒骨折されたYさんは、スタッフの顔をみるたびに「よろしくね」と泣き顔で、両手を合わせて頼まれます。私はうれし泣きをしておられるのだと、身びいきに解釈しています。

「一緒にやっていきますよ。もし、あなたが病気になっても」という〈あけぼの〉のリーフレットの一文は、とくに私たちが大切にしている介護の心を表しています。