七月、九七歳の別れ

Yさんの突然の「死」は、二ヶ月後の今も、信じられないほどです。

彼女の認知症を含むさまざまな症状はとてもユニークで、介護は試行錯誤の連続でした。「おしっこ」の訴えは連続し、一晩に二〇回トイレ介助したこともあります。その活発さは、大腿骨折時のレントゲン写真に、「バキッと折れている」と医師が言ったことにも現れています。

 

思い返せば、彼女は七月に入って変化を見せていました。「私は死ぬの?」「お父さん(二年前ご逝去)にお詫びをして、許されなかったら切腹する」とも。亡くなる四、五日前には「ヤスコちゃん、マミさん、カズコちゃんありがとう」と家族への感謝を大声で発し、職員がそれを記録していました。

 

一三日朝、枕に何か吐いていました。その日は一日中眠り、名前を呼ぶと、小さく「はい」とのお返事だけ。食欲はなく、「おしっこ」が出ませんでした。翌朝、腹部に腫れが見られ、主治医に相談して救急搬送。点滴で回復するだろうというほどの気持ちでした。

 

救急外来で、「腸ねん転」という重篤な病気が判明しました。医師は高齢であることと発症から一日以上経過していることから、「間に合わない。余命は二、三日」と伝え、ご家族も納得されました。

Yさんは翌未明、意識が戻ることなく静かに旅立たれました。合掌。